2010年7月7日

蛙飛び?とても愉快な奇祭です!

金峯山寺蔵王堂(奈良県吉野)の「蓮華会・蛙飛び行事」

   
   この日は、主目的の吉野金峯山寺の蛙飛び行事が午後一時からということもあり、西国33観音霊場の岡寺、壺阪寺と飛鳥の寺を参拝した後、昼ごろ吉野に到着する予定。
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だったのですが、やってしまいました乱れ打ち!
 何を勘違いしたのか奈良・斑鳩1dayチケットというのを購入、「あれ、行き先が違うぞ」と気付いたのは改札を通り地下鉄に乗り込んだ後でもう手遅れ。 さてどうしよう。予定通り飛鳥へ向かうとこのチケットまるまるの無駄。本来なら阿部野橋から吉野行きの近鉄電車に乗らなければいけないのですがとりあ えず近鉄難波駅から奈良行きに乗車。さあ、どうしよう。とりあえずこのチケットでケーブルにも乗車出来るので少しでも元をとらなければと生駒へ行く事に。 宝山寺は生駒聖天さんとして有名ですが、近畿三十六不動尊の第二十九番札所でもあります。境内に神社とお寺とが同居しています。

 宝山寺の参拝をすませ、次にどこへ行こうか。斑鳩、奈良、そしてこのチケットで京都まで行けます。でも、やはり『蛙飛び』がみたい。という事で清水の 舞台から飛び降りる蛙の心境で吉野に向かいました。よくわからない心境ですがせこい!

 吉野到着後、まだ時間に余裕があるので如意輪寺へ参拝。近畿三十六不動尊の第三十番札所。如意輪寺は、浄土宗のお寺なのですが本堂のご本尊は寺名からも お判りのように如意輪観世音菩薩。お不動さんは交通安全にも霊験あらたかと言われる『難切不動尊』。あらゆる厄難を断ち切って下さいます。他に役の行者堂、 多宝塔や南朝の後醍醐天皇の御陵、塔尾稜(とうのびりょう)、宝物殿には楠木正行(くすのきまさつら)が辞世の句を鏃(やじり)で彫り付けたという扉や 重要文化財のみごとな蔵王権現像、寝拝み観音などがあります。

 如意輪寺から蔵王堂をめざして山を下り始めると雨が降り出してきましたが、まわりの空気を冷やしてこの季節には逆に心地よいくらいです。金峯山寺蔵王堂の ある峰に登り食堂で食事をしているとちょうど午後一時頃太鼓の音が聞こえてきます。祭りだ、祭りだ、祭りだーー。太鼓の音にはわくわくしますね。
 食事を済ませ店を出る頃には雨も小雨になります。『予定通りだ』と理由(わけ)のわからない納得をしながら太鼓の音がするほうへ。そこには布団太鼓の御輿 が一台。布団太鼓のお祭りと違うのはなんとなんとなんと御輿に乗っています。そう、蛙さんが。歯を食いしばり顔を引きつらせて御輿を担ぐ若者たちを尻目に 愛嬌のいいことこの蛙さん。カメラを意識してでしょう手を振りポーズをとっての大サービス。でも、気ぐるみの中の人は暑いでしょうね。きっと、一日で何キロ か痩せるのでは。修行ですよ。

 しばらくすると役の行者開創と伝えられる東南院の境内へ到着。ここで迫力のある御輿の練り回し。再び町へ出て金峯山寺の横を通りケーブルカー乗り場まで行き、 ここで山伏姿の修験道の行者さんたちと合流。そこから行者さんの行列に先導され金峯山寺の境内へと向かいます。この日は雨で足場が悪いため仁王門の階段を御輿 は登りませんでしたが、奈良の大仏鋳造の残りの銅で建てたといわれる銅の鳥居(かねのとりい・日本三大鳥居のひとつ)の前の階段を登るときにその勇壮さの一端 を見る事が出来ました。

 修験道の行者と蛙御輿の行列が金峯山寺蔵王堂の境内に到着、雨で全ての行事は本堂内で行われるという事でしたが蓮華会法要が行われている間に雨も止み予定 どうり本堂前に造営されたステージ(儀礼場)へ蛙さんが登場。3人の行者(金峯山寺のお坊さんは全て行者さんです)にお経を唱えていただき無事人間の姿に もどったのでした。
 もともとこの蛙は人間でしたが、修験道を侮辱したとかで大鷲にさらわれ断崖絶壁に置き去りにされその後悔懺悔する様相をみて金峯山寺の行者がその男を蛙の姿 にすることによって救い出すのですが、蛙のままではというので蔵王権現のお力により人間の姿にもどしていただくというお話。蛙は吉野山の地霊を示す動物でもある そうです。

 この行事の正式名は『蓮華会 (れんげえ)』といい、金峯山寺の三大行事の一つ、明治の廃仏毀釈、修験道の禁止により中断はありましたが室町時代から続けられている行事です。役行者が産湯 をつかったと伝えられ(善教寺境内にある「役行者産湯の井戸」)、良売塚(とらめづか)五輪塔(良売は役の行者の母親。この地で蛙を傷つけ四十二歳で他界した という伝説があり役小角の修験道発心の地(『一つ目蛙の民話』)のある大和高田市にある奥田蓮池公園(弁天池・捨篠池《すてしのいけ》)の蓮の花を蔵王権現に 供える法会で、毎年7月7日の朝に奥田の蓮池の108本の蓮を切り取り金峯山寺蔵王堂へ運び蓮華会法要が行われます。翌8日には大峯奥駈道の拝所に蓮を供え ながら山上ヶ岳山頂の大峰山寺まで蓮を運び供えます。
 奥田の蓮取り行事は奈良県無形民族文化財に指定されています。

 『蓮華会・蛙とび行事』が終了後、午後5時からは金峯山寺蔵王堂境内で護摩供養が行われました。私は護摩供養の途中で退散、七曲がり(吉野山登山道)を 満開の紫陽花を眺めながら下山。昨年ご紹介した大阪四天王寺の七夕笹飾りのお炊き上げ法要へと向かいました。

 ところで後で気付いたのですが最初にチケットを買い誤ったために参拝することになった生駒の宝山寺も役の行者開創のお寺です。如意輪寺、東南院、金峯山寺と 本日の参拝寺院はすべて『役の行者霊蹟札所』のお寺ではありませんか。きっと今日は朝から役の行者さんのプロデュースだったのですね。すごいお力です。

(交通)

如意輪寺、東南院、金峯山寺蔵王堂
近鉄吉野線吉野駅下車徒歩
東南院、金峯山寺へは吉野山駅までケーブルカーもあります。そこから徒歩10分。

奥田の蓮池公園
奥田の蓮池、弁天池、捨篠池は同じ池。
住所 大和高田市奥田
アクセス 近鉄南大阪線浮孔駅から、南に徒歩約1.5km
7/7(土)のみ午前8時から近鉄大和高田駅、JR高田駅、高田市駅経由奥田池行きの無料バスが運行されます。15分〜30分間隔

 

如意輪寺本堂

 
 
ポーズをとる蛙さん
 
 
 
 
 
銅の鳥居の階段を上る御輿
 
 
2時過ぎ、奥田の蓮の花が到着
 
 
金峯山寺蔵王堂
 
 
蛙飛びの儀式
 
 
護摩法要
 
 
四天王寺七夕
 
 

そのほかの写真