2009年11月9・10・11日

関東三観音乱れ打ち
横浜関帝廟・日光中善寺立木観音・浅草観音

横浜中華街の関帝廟

   今回は2泊3日のツアー旅行。寺院巡拝ツアーではなく一般の観光ツアーですが・・・。
 ある会社の招待旅行なのですが、月曜日出発の3日間という事で当然普通に仕事をしている人には参加は出来ません。という事で私に代理参加のお鉢がまわってきました。皆さんも、「旅行に招待されたのになんらかの理由で参加出来ない、あ〜もったいない、誰か行く人いないかな?」という時は、私にメールを下さい。私が参加をして進ぜましょう。
 日程では、1日目が山下公園観光、2日目が皇居と鳩山会館、3日目が浅草観光。お年寄り向けのツアーのようで、ほとんど東京へ行って帰るだけという何もないツアーです。
 それでも、私にとってはラッキー、チャンスは逃すな乱れ打ち?往復新幹線利用のツアーゆえ、帰りの新幹線のチケットを貰って暫く関東の寺院を参拝してまわる予定でしたが、添乗員さんに話をすると、みんなと一緒に帰らないと実費で帰らないといけない 、新幹線のチケットを渡すわけにはいかないという融通のきかないツアー。添乗員さんがなかなか美しいので文句もいえず、東京から1万数千円を払って実費で帰るのも無駄なので、関東の寺院参拝はあきらめて、帰りに名古屋で下車してかねてより気にかかっている「日泰寺」へお参りし、西へ華厳寺から観音霊場をいくつかお参りして帰ろうと算段していました。

 初日、横浜は定番の中華街と山下公園。今日は御参り無しと思っていたのですがありましたよ。なんと中華街の真ん中にある三国志で有名な関羽を祭神とする「関帝廟」です。この御廟、最初に出来たのは明治4年、その後、関東大震災(1923)、アメリカ軍による空襲(1945)、不審火(1986)と三度消失し、現在のものは1990年(平成2年)に完成した4代目の建物。関羽は護国の神として祭られています。「日光東照宮も派手ですがさすがに本家本元には勝てませんね。装飾に本物の金が使われていたらすごい金額ですね。」などと考えながら参拝させていただきました。
 御廟の中には四体の尊像が祭られています。中央に関聖帝君(関羽)、ご利益に「商売繁盛・交通安全・家内安全・入試合格」とあります。右に関平、福徳正神(土地公)財神。左に周蒼、地母娘娘 長寿・健康。そして、なんと何となんと、中央の関聖帝君の下には観音菩薩、慈悲とあります。
 他の諸神のお参りの仕方は分からないので採りあえず観音菩薩のご真言「おん あろりきゃ そわか」。中国系寺院に詳しい方はご教授をお願いします。
 その夜は友人と久しぶりに会う約束、宿泊先の東京都内のホテルで夕食を食べてから出かけようと思ったのですが席について40分、時間が余り無いので巻いて下さいとお願いしたのですが出てきたのは前菜のみ、時間が無くなりやむなく夕食を途中放棄。勿体無い話ですね。しかし40分で前菜だけしか出ないというのはひどすぎると思いませんか。

 2日目は、最初に皇居見学の予定。こちら、身分証明を持っていないと入れてくれないという事。私には車を運転しないので運転免許証も無く断念。お年寄りの方がほとんどなので、皆さん運転免許証をお持ちでない方が結構いらっしゃるのですが、そうゆう方はたいがいパスポートをお持ちになっておられます。私、海外へ行ったことが無いのでパスポートもありません。他のお客様が見学をしている間どこかで勝手に時間つぶしをしてくださいという事。酷い、美人添乗員さんが一緒に時間つぶしをしてくださるならまだしも、いたいけない私を大東京に一人で放り出すなんて。という事で、全日自由行動にしていただきました。私の他にも、身分証明の無い方が何人かいらしたようで、皆が出発した後もホテル内でぶらぶらしている方を見かけました。
 さあ、一日時間が出来てしまいました。行きたいところ候補はとりあえず3ヶ所。高尾山、日光、鎌倉。鎌倉はひととおり回っているし、高尾山はいきなりで資料無し。日光へ向かおう乱れ打ち。浅草から東武トレインで一路日光へ。昨日、横浜中華街関帝廟でふと日光のことが頭をよぎったのですが、こうゆう事だったのですね。
 日光東照宮や輪王寺などの世界遺産エリアは何度も行っているのでとバスで中善寺温泉に着いたのが丁度お昼。快晴、お参り日和カンメラマン日和、と思いきや、中善寺温泉バス停から二荒山神社 (ふたらさんじんじゃ)へ歩く10分程のうちに雲が空一面を覆ってしまっています。なんなんだこれは。別に曇っていてもお参りには差し支えはないのですが・・・。
 二荒山神社は、二荒山大神三柱を御祀りする日光山内に本社のある世界遺産にも登録されている神社です。ここ中善寺温泉にあるのは、中宮祠(ちゅうぐうし)と、男体山(二荒山)頂にある奥宮、他に日光連山各山頂に末社を持っています。
 二荒山神社中宮祠は、本殿・拝殿・中門・透かし塀・銅鳥居が重要文化財に指定されているというなかなかの由緒ある神社。創建は784年(延暦3年)、大己貴命(おおなむちのみこと・大黒天)を主祭神としています。ご利益は、家内円満・良縁成就・事業繁栄。
 お参りの作法は、二拝二拍手一拝の後、「二荒山(ふたらやま)の大神、守り給え幸(さきわ)え給え」と二度繰り返します。
 ここ二荒山神社中宮祠は、境内地に、男体山、女峰山、太郎山他の諸山、華厳や白雲、般若、方等の滝などの名瀑をも含む3400ヘクタール、日光国立公園の中核をなしています。奥宮のある男体山への登拝口にもなっていますが、残念ながら開山期間は終わっていて今回は奥社へは参拝することが出来ませんでした。開山祭が5月5日、閉山祭が10月25日、登拝大祭が8月1日からの7日間、諸山登拝祭が9月中とのこと、もう一度来なくてはなりませんね。
 ここ中善寺温泉、私が想像していたほどの大きな温泉旅館の建物などなく、近くに御用邸や大使館の別荘が建ち並んでいるところ。宿泊は大部屋素泊まり2,000円台から、もちろん温泉つき、日帰り入浴700円とお手ごろ価格のところもあります。中善寺湖畔で一杯300円のうどんを食べ、湖にボートをだすカップルや湖上を疾走するモーターボートを眺めながら中善寺立木観音へ向かいます。中善寺温泉バス停からですと約1キロの距離、20分に1本バスもあります。二荒山神社中宮祠から歩くと2〜30分でしょうか。後で知ったのですが、バス停近くの船の駅中善寺から立木観音まで中禅寺湖機船のおしゃれなクルージング船で150円で行けます。乗りたかったな、残念です。
 地名の由来でもある中善寺立木観音は、世界遺産「日光山 輪王寺」(にっこうざん りんのうじ)の別院です。ご本尊は十一面千手観世音菩薩、通称立木観音像は国の重要文化財。二荒山神社の神宮寺で、日光の修験道場として一千二百年の歴史を持つお寺です。784年(延暦3年)に勝道上人(しょうどうしょうにん)が桂の大樹に立木のまま観音像を刻んだことから立木観音と云われています。1902年(明治35年)男体山の山津波により堂宇ともども中禅寺湖に流されたのですが、奇跡的に立木観音像が浮かび上がってきたといいます。
 本堂(立木観音堂)にお参りする折、参拝者は私一人、いつものように入口で靴を脱いでお堂に入り丈六でしょうか、りっぱな観音像を拝見しているとお寺の人が入ってきて靴は履いていってくださいと叱られてしまいました。靴を脱いで下さいと叱られたことはあってもその逆は初体験。

 左は観音堂正面の張り紙です。堂内で読経すると観光客に迷惑ということでしょう?関東流の参拝者に対する考え方でしょうか。

 千手観音のご真言は「おん ばざら だるま きりく (そわか)」。規則を破って観音菩薩の前で小さな声でぼそぼそと延命十句観音経をお唱え致しました。

 観音堂から渡り廊下(正確には渡り階段ですか)でつながる五大堂にはりっぱな五大明王像が祀られています。中心に不動明王、左右に降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、大威徳明王(だいいとくみょうおう)、金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)。天台宗のお寺の多くでは、北方の守護神として金剛夜叉明王ではなく烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)が祀られることが多いのですがどういう謂れがあるのでしょうか。
 ここではご真言ではなく、「五大力明王」をご紹介しておきましょう。3回繰り返し唱えます。
   東方 降三世夜叉明王
   南方 軍荼利夜叉明王
   西方 大威徳夜叉明王
   北方 金剛夜叉明王
   中央 大日大聖不動明王
 境内には他に、波之利(はしり)大黒天を祀る波之利大黒天堂、本尊は秘仏。二荒山神社中宮祠の主祭神が大黒天ですから、当然、その神宮寺であった中禅寺にも大黒天が祀ってあります。愛染明王像を安置する愛染堂は、映画『愛染かつら』のロケ地としても有名です。鐘楼は中に入って鐘を撞くことが出来ます。
 一通りの参拝を済ませ、納経所で坂東三十三観音札所の御朱印を戴こうと普通に300円出したところ「400円です」。げっ。用紙代金が100円だそうです。
 中善寺湖畔の社寺の参拝を済ませ、華厳の滝見物に。う〜ん、絵にならねえ。周りは紅葉も終わり枯れ木だけ。空は曇ってどんより。エレベーターで滝の近くまで行くことが出来るのですがまた次の機会にすることにしました。
 帰りのバスを待つ間に立ち寄ったお店でお聞きすると、紅葉は毎年11月の初めごろがピークだそうです。

 3日目は予定では浅草で昼過ぎまで自由行動。当然久しぶりの東京なので知人と連絡を取っていて一緒に昼食をする約束をしています。朝食を済ませホテルのロビーに集合すると、今日は雨なので予定を変更して浅草の雷門の前を車窓で見学して東京タワーに行くとの事。「どうしても浅草寺へ行きたい人は途中下車してもいい」というので 救われましたがまるで私が我が儘を言っているような気分。貴重な時間を割いて私に会いに来てくれる知人にいまさら断りを入れることも出来ず浅草でたった一人バスを降りたのでした。
 雨の中、浅草寺(せんそうじ)で御参り。通称浅草観音と呼ばれ、東京の人でも「せんそうじ」という寺名を知らない方が多勢います。本堂はご覧のとおり (写真)修復工事中。
 聖観音宗の総本山で本尊は聖観音菩薩(秘仏)。聖観音菩薩のご真言「おん あろりきゃ そわか」。
 浅草寺本堂での御参りを済ませ影向堂(ようごうどう)へ行って坂東三十三観音札所の御朱印をいただきます。いくらですかとお聞きすると300円と霊場会で決まっていますとの事。用紙代金はいらないんですか問うと必要無いとのこと。知人との待ち合わせ場所をお聞きすると親切に教えてくださり、その上ご丁寧に境内の案内図の載っている浅草寺の解説書までいただきました。ありがとうございますと感謝感謝。

 考えてみると今回の旅行は観音さんのプロデュース。一日目の「関帝廟」から始まりこの3日間意図せずして観音参り。
 南無帰命頂礼大聖観世音菩薩。

 結局3日間で予算を全て使い果たし名古屋の「日泰寺」は次のj機会という事にしました。もともと予定していた訳ではないし、きっとそのうちお釈迦様が御参りできるようプロデュースしてくださるでしょう。

関帝廟内部

関帝廟の諸尊像

関帝廟の観音像 長い髭が生えています

ホテルの部屋からの夜景

男体山(二荒山) この写真撮影の10分後には空が暗雲に覆われていました

二荒山神社 拝殿と後ろの本殿(どちらも国重文)

二荒山神社透塀と本殿(どちらも国の重要文化財)

鳥居(国重要文化財)と奥宮への登拝門

男体山(二荒山)頂上にある奥宮への参道階段

中善寺立木観音堂

中善寺 五大力さんを祀る五大堂

華厳の滝

工事中のシートで覆われた浅草寺本堂

浅草寺内陣

文中の金額等は訪問当時のものです。
DATA  
関帝廟
横浜中華街(よこはまちゅうかがい)の中心にある。
すぐ近くには山下公園、横浜港。
行事
関帝誕 6月24日 (旧暦)(7月 - 8月) 商売の神様、関帝の誕生日。

神奈川県横浜市中区山下町
最寄り駅
 JR根岸線・石川町駅
 横浜高速鉄道 みなとみらい21線・日本大通り駅 元町・中華街駅
 横浜市営地下鉄ブルーライン・関内駅
金龍山 浅草寺
きんりゅうさん せんそうじ
通称 浅草観音
宗派 聖観音宗(しょうかんのんしゅう)
創始 土師直中知(はじのまなかち)・桧前浜成・桧前竹成(ひのくまのはまなり・たけなり)
    上記の三人は神として浅草寺東側にある浅草神社に祀られています。
創立 推古天皇三十六年(628)
観音堂開基 勝海(しょうかい)上人
開基年 大化元年(645年)
中興開山 慈覚大師円仁
本尊 聖観世音菩薩
詠歌 ふかきとが 今よりのちは よもあらじ つみ浅草に まいる身なれば
坂東三十三観音霊場第13番札所
江戸三十三箇所観音霊場の第1番札所
納経時間
 (夏)6:00〜17:00
 (冬)6:30〜17:00
住所 東京都台東区浅草2-3-1
電話 03-3842-0181
最寄りの駅 浅草駅
 東武鉄道 地下鉄銀座線 浅草線 つくばエクスプレス
年間3000万人が参拝するといいます。
日光二荒山神社中宮祠
(にっこうふたらさんじんじゃちゅうぐうし)
二荒山神社奥宮
(にっこうふたらさんじんじゃおくみや)
創建 延暦3年(784)
創立 沙門勝道(しゃもんしょうどう)・中禅寺開基の勝道上人のこと。
    男体山(二荒山、標高2,486b)山頂に二荒権現(ふたらごんげん)を祀ったのがはじまり。
祭神 二荒山神社本社と同じ二荒山大神(ふたらやまのおおかみ)三柱
大己貴命(おおなむちのみこと)
田心姫命(たごりひめのみこと)
味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)
境内地3400へクタール、伊勢神宮についで広い。
男体山の登拝期間は、毎年5月5日から10月25日まで
開門時間は、毎朝午前6時
日光二荒山神社中宮祠
〒321-1661
栃木県日光市中宮祠2484
TEL (0288)55-0017
日光山 中禅寺
にっこうさん ちゅうぜんじ
正式名 日光山 輪王寺 別院 中禅寺
通称 立木観音
宗派 天台宗
開基 勝道上人(しょうどうしょうにん)
創立 延暦三年(784)
本尊 十一面千手観音菩薩(国重文)
詠歌 中禅寺 のぼりて拝む みずうみの うたの浜路に たつは白波
坂東三十三観音霊場第18番札所
下野七福神(大黒天)
納経時間:
 4月〜10月 8:00〜17:00
 11月 8:00〜16:00
 12月〜2月 8:30〜15:30
 3月 8:00〜16:00
住所:栃木県日光市中禅寺歌ケ浜2578
電話:0288-55-0013
日光二荒山神社中宮祠
日光二荒山神社奥宮
日光山 中禅寺
華厳の滝

最寄りの駅
東武 JR日光駅より中善寺温泉行きバス終点下車

中禅寺まで徒歩約10分
 (10分歩けない方には立木観音行きバス、観光船有)
二荒山神社中宮祠まで徒歩約10分
二荒山神社中宮祠登拝門から二荒山神社奥宮までは約6キロ、標高差1200メートル、約3時間30分。
華厳の滝展望所まで徒歩約2〜3分。